「 …リルカ

おまえを見てると、
なぜか昔を思い出すよ…


小さな頃は近所に、
友達もいない田舎でな…


こうやっていっつも
晴れた青空を見ながら ―――











  ―――… なあ、藤本 」





「 …… はい 」




「 …さっきまで目茶苦茶、外 雨だったよな 」





「 はい
がむしゃらな強風で
ガタガタ揺れてましたし

素肌にスカーフ巻いて、歌を唄うと
素敵なプロモーションビデオが
撮れそうでした 」





「 …いや

ラストシーンは海に浮いてそうな
キケンなエンターテイメントは要らん

まだ揺れているのは同じなんだが… 」






―― 恐る恐る、
閉じられた扉の側に、近寄ってみる