「 あ! リルカちゃん!
おトイレは、ちょっと判り難くて 」
「 ―― 阿部先生に聞いてるの!!! 」
台所で刻まれていたリズムが
青戸の大声で、一瞬止まる
コタツの上の鍋の音が
クツクツと部屋に響いた
「 … ご、ごめんなさい
なんか、差し出がましかったね…
やっぱり、私帰るね 」
アキラが立ち上がると
何故か青戸が、それを阻止した
「 …帰る事ないじゃん!
こ…ここに住んでたんだから
知ってて当たり前なんだし!
よかったね? 阿部先生! 」
「 ―― 青戸、アニメやるぞ
チャンネル変えていいから 」
「 アニメなんか見ないよ!!
… 先生、自分で判ってないかもだけど
すっごい嬉しい!未練たっぷり!って
情けなーく、
顔に書いてあるんだからね?! 」
ギクリとして、額を抑えた
「 …おまえも見えるのか?!
シールが!! 」
「 はあ?! シールって…
ばかじゃないの?!
そ… そんなもん無くたって
誰にでもわかるよそんなの!! 」
「 …青戸さん
少し、色々言い過ぎだよ 」
台所の、のれんから顔を出した藤本が
真面目な顔で、青戸を見た


