海沿い
七月の空に輝く新月
藤本の運転する車に
流れて来る空気は 潮風
「 …今頃…
ずうっと何も
聞いていらっしゃらなかったのに
―― 僕とのフリーダムなドライブ生活
飽きてしまいましたか…? 」
「 …いや
おまえはかなり面白いし
話も、音楽の趣味も合う
だから全然飽きてないし、楽しいぞ
…けど、何でなのかなって
月を見てて、思っただけだ 」
「 それがね…
僕にもよく判らないんです
ホントに阿部先生は、
初めてのケースばかりで
…でももしかしたら
僕のせいかもしれません…
―― だとしたら、ごめんなさい… 」
「 …藤本 」


