リルカに届く様に
少し、頭を下げる
頬を真っ赤にしながら
思い切り立てる、ローファーの爪先
リルカの手が器用に、
それを首元に巻いて行く
「 あれ?
マフラーかと思ったけど、違うのか 」
「 ネックウォーマー!!
ストールっていうか…
先生、
毎日駅前通ってるのに知らない?
今、男の人に流行ってるんだよ〜 」
「 ほおお
ヤロウの服なんて、
最近、気にした事ないからな
… 似合うか? 」
「 うんっ!! すっごく似合う!! 」
「 ――― 藤本 」
「 はい? 何でしょう 阿部先生 」
「 一個だけ、お願い事いいか? 」
「 なんなりと 」
「 … これ
" 向こう "にも
持って行ける様にして欲しいんだ 」
「 …承知しました 」


