『ねえこの蝶綺麗でしょ?』
  …見知らぬ男の子がしゃべりかけてきた。
 『うん…。綺麗…だね。』
 本当に綺麗だった。透き通る羽は
 透明なピンクなどのカラフルな色合いであった。
 『君には、見えるんだね…。』
 『見えるって?蝶が?誰でも見えるでしょう?』
 不思議な子。
 『この蝶が見えるってことは、君は…天使に選ばれたんだよ。とても、幸せなこと。
  だけど、君は、もう死んでしまってるんだよ。
  そして、天使になった以上、生まれ変わることはない。パートナーといつも一緒にいなければならないんだ…』
 何を言ってるの…?
 私は、生きているのよ…?
 『嘘でしょ?』
 『嘘ではない。本当の事なんだ。あそこに人がいるだろう?
  話しかけてみな。』
 そこには可愛い小学生の女の子がいた。
 『おはよう。』
 一応、挨拶をしてみた。けれど返事はない。
 『歩いてみなよ。女の子に向かって。』
 言われたとおり、女の子に向かって歩いてみた。
 すると…。
 『何…これ?』
 女の子を通り抜けた。
 まるで、私がいないかのように。
 『本当に死んでしまっているんだよ。』
 …。
 『本当だね…。』