冬の日差しが温かい日曜日の午後のことだった。

リビングには、甘酸っぱい匂いが漂っていた。

キッチンから聞こえるのは、コトコトと鍋の煮込む音だった。

「春ちゃん、ジャムできたよ!」

小さなビンと木のスプーンを手に、聖が僕のところにやってきた。

僕は読んでいた新聞から目を離すと、彼女に視線を向けた。

「この前春ちゃんの実家から届いた小さないちご、ジャムにしたら美味しくできたから」

ニコニコと笑って、聖はビンを見せた。

小さなビンに入っている赤いものは、できたてほやほやのいちごジャムだ。

「美味しそうでしょ?」

ニコニコと笑いながら、聖は首を傾げた。