再婚して、新しい母親を連れてきても、気に入らなくて反抗する。

せっかく作った食事をひっくり返したり、物を壊したり、泣き叫んだりする。

大人たちの目からみた僕は、気難しい子供にしか映っていなかっただろう。

とにかく困らせて、相手にに迷惑をかけて…そんな子供を、一体どうしろと言うのだろう。

でも、僕は実母以外の女性を母親だと認めたくなかった。

若くてキレイで、優しかった実母。

病弱で、一緒に遊んでくれなかったとしても、僕の母親はあの人だけだ。

年を召したおばさんよりも、若い実母の方が僕からして見ればただ1人の人。

世界中を探しても、代わりを見つけても、僕にはあの人しかいない。

実母ただ1人だけ――。