母を殺せば、父は自分たちが望んだ相手と結婚してくれる。

その中に、父の気持ちはなかったのだろうか。

何より、僕がどうなると言うことも考えていなかったのだろうか。

息子である僕の気持ちに、何の考えを持たなかったのだろうか。

そして、彼女たちに罪の意識はなかったのだろうか。

考えれば考えるほど、僕の中で気持ちがわきあがってくる。

「病弱な聖子さんがいつも飲んでいた薬があった。

それを、別の薬――毒薬とすり替えた。

聖子さんはそれを毒薬を知らず、いつものように薬を飲んだ。

そして、発作を起こして、そのまま帰らぬ人となった」

話し終えたと言うように、奈津子おば様は唇を閉じた。