口に出した瞬間、奈津子おば様は黙った。

「結局は、気持ちよりも世間体優先なのですね。

僕の気持ちを聞くことよりも、あなたはそれが優先。

愛しているからと言う気持ちなんて無視。

いいえ、僕の気持ち自体無視」

「そんな…!」

彼女のうつむいていた顔があがった。

その顔は、涙で濡れていた。

「私は、春海さんのためを思って…」

「だったらいりません、そんな気持ちなんて」

僕の冷たい声に、奈津子おば様は表情を凍らせた。