私は表面上に出さないないようにしながらも、心の中では溜息をついていた。


だって、佐野君やっぱり何か裏があるようで怖いです・・・。

初対面の人にこんな感情持つのは失礼ですけど、と想いながらも佐野君に説明をしながら構内を歩いていく。



「あ、此処は音楽室です。放課後は吹奏楽部が主に使ってます」
「へぇ、そうなんだ」



私が説明をしても佐野君は全部同じ反応。
“へぇ、そうなんだ”。


本当に覚えてるんですか?と聞きたくなるぐらい。
そんな事を思ってる時ふいに佐野君が口を開いた。


「人気(ひとけ)が無い教室って無いの?」


人気が無い教室?と疑問に想っていると佐野君は、

「いいから早く。何処か無いの?空き教室とか」

急かすように言ってきた。



う~ん、と私が首を捻っているとある1つの教室の存在を思い出した。
私は思い出した場所の名前を言った。


「パソコン室は多分放課後何処の部活も使って無いし、鍵も開いてると想いますけど・・・」
「じゃぁ、其処で言いや。案内してくれる?」


佐野君は私の腕を引っ張りやっぱり、早くと急かしてくる。


「分ったから、腕離してください」


うん、と言う言葉と共に腕を離してくれた佐野君。


私は内心ホッとしながら、佐野君の前を歩いていった。

―だから、気が付かなかったんだ。
佐野君が後で怪しく笑ってる事に・・・。