あれから、私は幸せな毎日をおくっていた。




そして、卒業式の日。




「桐葉ちゃん、実はね僕留学するんだ」




聖斗くんに卒業式後に突然告げられた言葉だった。




「言ってなくてごめんね」
「どこへ、いくの?」
「僕、音楽が好きだから、ウィーンに行くんだ」




知らなかった…
留学することも、音楽が好きなことも…

私、3年も一緒に居たのに…

何にも知らなかった。




「だけどね、3人で暮らすって約束は忘れてないよ?」




私の目から涙がこぼれた。




「聖斗くん…聖! 私、聖の事も大切だから…絶対に、絶対に…帰ってきてね。約束も、忘れないでね」
「ありがとう」




聖は笑顔でそういった。