「いえ、何にもしてませんよ」




斎斗がサラッと答えた。




「でも、保護した時の様子がいつもとはぜんぜん違ってたわよ」




「あれが、聖の本来の姿ですよ」




私は看護婦さんと二人で驚いてしまった。




今日、みたあの聖斗くんが本来の姿?
そんなの、信じれるわけないよ……



「信じられないかもしれませんが、本当ですよ。聖は小学校の低学年ぐらいまでは、あんな感じでした。でも、それじゃ好かれないことが分かったんでしょうね、突然優しくなったし、話し方が変わったから俺もはじめの方はなれなかったですよ。で、その性格というか姿になったかわりに、大きなストレスがかかった時に甘え癖が出るんですよ。とにかく、かまって欲しいんだと思う」




今…
なんか、ものすごい話しを聞いた気がする……



「戻るの?」




私はそう、尋ねていた。




「さぁ、な…前一回、こうなった時は戻ったぜ? 時間はかかったけどな。けど、今回も戻るかは聖しだい」