「俺の心配する前に桐葉の心配しろよ」
「でも、斎…もう、ダメだよ、無理しなくていいんだよ。僕の我儘だけをいっつもきいて、斎…最近何も言わないでしょ? どうして、無理する? 我慢する? 僕だって、頼りないかもしれないけど、斎の力になりたい」




俺、無理なんてしてねぇよ…?
言いたいことだってちゃんと、いってるよな…?




「わかんねぇ…わかんねぇよっ!!」




ダメだ、ダメだ。
落ち着けよ自分。




でも、自分へのイライラと何かよくわからない恐怖で体がおかしくなりそうだ。




「もう、いいから。俺のことはほっとけばいいから、桐葉を家に送って来いよ」
「今の斎を一人にはできないよ。部屋の中をグシャグシャにされても困るし、自分のことを内面からも外面からも傷つけられたら困るし…また、大通りを赤信号で渡られても困るし…他にもいろいろ、一人にすると困ることがあるから」
「そんなこと、したことねぇよ!!」
「してたんだから、仕方ないよ」




そう言って俺の腕と桐葉の腕をつかんで、外へ出た。




「桐葉ちゃん、ごめんね? 大丈夫?」
「え、平気、平気。気にしないで! それより、二人は大丈夫なの?」
「うーん…僕は今は意外と大丈夫かな。でも、斎はちょっと大丈夫じゃないっぽい」
「俺は平気だって。手、離せよ」




なぜか、桐葉からは手をはなしたのに、俺からは離してくれねぇ。