「そんなの、ダメに決まってるでしょ?」
「沙耶……」




思い切り頬を叩かれたというのに、桐葉は落ち着いている。




「どうして、ダメなの…沙耶?」
「それはっ… 桐葉ちゃんが、誰のいうこともすぐに信じちゃうから……いつか、騙されて、嫌な思いをしたら嫌だと思って」




おいおいおい…それが理由かよ?
うそじゃない、本物の言葉っぽいし……




「桐葉ちゃんのこと、大好きだから…家でもいろいろ大変だから、学校だけでも幸せになって欲しかった。そしたら…やりすぎて、ごめんなさいっ! 突き落としたあと、私怖くなって死んじゃったらどうしようって、それで生きてるって聞いて、すっごく嬉しくて…でも、私のせいだからって思ったら足が動かなくなって、会いにいけなくなっちゃって…療養のために、引っ越したの……」
「これ、本当だから。俺も沙耶の事、止めてやれなくて…ごめん……」




桐葉は嬉しいみたいだ。





「ありがとう…二人とも私のこと思っててくれて!」
「桐葉ちゃん…もう、私達のこと、信じてくれない?」
「ううん。でも、すぐには無理かもしれないから、待っててね」
「じゃあ、ついでに私のことも信じてね!」




來玲乃が桐葉にそういうと、ニコッと笑ってうなづいていた。




よかったな、桐葉…
クラスのやつらも、そう思ってるみたいだ。