「・・・おいっ、起きろ恵っ」
「ぐう・・・」


「・・・起きねーと・・・」
「あ、はい。起きました」
「・・・っっち」


今かすかに舌打ちしましたよね大樹さん。


「もう5時だ。さすがにもう現れねーだろ。帰るか」
「ん・・・」

帰ろうと立ち上がろうとすると・・・


「・・・あ、これ・・・」


大樹の制服があたしの膝に掛けてあった。


「これ・・・」
「・・・べ、別に深い意味はねぇよ。暑かっただけだ」
「・・・」


大樹の耳が赤いことから嘘だとわかる。

気遣ってくれることが妙にうれしい。


「・・・ありがと」
「・・・いいよ別に。俺がしたかっただけだし」


これからも大樹はずっとずーっとあたしの大切な幼馴染だから・・・。


だから・・・。



「帰ろうか」
「うん」


自然に伸ばした手に甘えさせてください。


ぎゅっ・・・。



「・・・タイヤキでも買ってく?」
「おごってくれるんなら」
「あーでも俺大判焼きのほうが・・・」
「両方買おうか、あたしはタイヤキ買って大樹は大判焼き。あとで変えっこしよう」
「・・・待ってました」


にやっと笑う大樹は完全に悪い顔。

・・・まさか。図ってなんかないよねうん。