「・・・え」
「あ」
大樹が振り返り、驚いたような顔であたしを見る。
「ごっ、ごめん!ちょ、なんでもないからそんな驚いたような顔で見ないでください・・・」
「・・・懐かしいな」
「え」
「小さいころはずっと俺ら手ぇ繋いでたろ?」
照れたように笑う大樹もなんか少し寂しそうだった。
「・・・うん」
「なら、今日は子供のころに戻ろうじゃないか!」
「なんか口調違う」
「えー気のせいだし」
「・・・こうしてないと恵が離れていきそうで・・・」
幼馴染は深くて脆い。
絶対この関係が揺れ動くことはない。
・・・そう、断言していた。この頃のあたしは。
「・・・迷子になんかならないし」
「え、あ・・・そ、そうだよな」
「でも今日は子供の頃に戻ろうか」
「・・・!・・・うん」
大樹は優しく微笑むと手の握る強さを倍増させる。
・・・少し痛いけど、嫌ではなかった。
「・・・痛い」
「痛くしてるもん」
「これで指の骨折れたら大樹のせいだからね・・・」
「責任はとってやるよ、一応」
「一応ー?」
なんて雑談してたら駅にあっという間についた。
