「莉央。どうする?父さんと母さん、どっちについていきたい?」


リビングのテーブルで、両親と向かい合って座っている。


近々離婚するらしく、どっちについて行きたいか質問されたところだ。


「どっちにもついて行かないよ」


「それじゃ困るよ。お前を一人暮らしさせるほど、父さん達も余裕があるわけじゃないからね」


お父さんが、少し困った顔で言った。


「誰も一人で暮らしたいなんて言ってないじゃん」


私は、頬杖をついて、目線をテレビに向けながら答えた。


テレビの中では、芸人達がバカな事をして、一生懸命笑いをとっていたけど、今の私には全然笑えなかった。


でも、両親達の堅苦しい話なんか聞きたくなくて、テレビを見る振りをしていた。


突然テレビの電源がプツンと切れた。


横を見ると、お母さんがリモコンを持っていた。


「大事な話してるんだから、ちゃんと聞きなさい」


私をキッと睨みながら、自分の座っていた場所に戻っていった。


「チッ」


舌打ちしながら、しょうがなく体を前に向けた。


それを見て、お父さんが口を開く。


「一人で暮らすわけじゃないってどういう事だい?」


優しい口調で聞いてきたので、私もお父さんの目を見ながら答えた。



「私、兄ちゃんのところに行きたい」