君に永遠の初恋を。

「もし、抜けさせてくれなかったら、一ノ瀬結愛の知り合いとでも言えば、言うこと聞くから。…じゃ、さようなら」

「…っ!一ノ瀬っ!」

胸が痛くなるほど、切ない声に聞こえなかったフリをして、私は喫茶店を飛び出した。

ぼろぼろとこぼれる涙を拭くこともしずに。

すべて…終わった。

…だけど。

この初恋は、永遠に消えそうにないから。

何があったって、揺らぐことはないだろうから。

この想いだけは、残しておきたい。

君が幸せなら、それで十分だ。

黒塗りのリムジンが見えた所で私は涙を拭った。

大丈夫、人の温もりを知ったのだから。

無言で開いたドア。

…最後に見上げた空は残酷な程、蒼かった。