「…私はね、事業拡大の為に生かされてる人間なの」

生まれて間もない私を児童養護施設の前に置き去りにした本当の親。

施設の人に拾われて、私は親の愛情なんて欠片も知らずに育った。

そして、小学生になった日、とある夫婦が施設にやってきた。

子供ひとりひとりを品定めするように見ていた夫婦は私の前で止まった。

「お前にしよう。顔もいいし、頭も良さそうだ」

「えぇ。これなら、相手のご子息も満足するでしょう」

こうして、私は今の親に引き取られた。

毎日、勉強にセレブマナー、たくさんのことを詰め込まれた。

気づいたら、大学課程を終了していた私は、偽りの親から偽りの自由をもらった。

その期限が16歳の誕生日。

つまり、今日。