ヒミツの恋の方程式

「敦にも、その声聞かせたのか?」


嫉妬と苛立ちの混じった聡の声。


「…き…聞かせてない。
…っていうか、黒あくまに…あ、いや…
黒澤くんに、頬をつねられたのだって。
頬にキスされたのだって。
あんなの、ただの嫌がらせなんだから」


いくら誤解だとは言っても。


聡のこんな冷たい表情は、ちょっぴり怖くて。


「ほら…
いつものように、ただあたしをいじめて…」


誤解を解こうとそう言った瞬間、聡はついていた肘を折りまげた。


「雫の口から、敦の名前なんか、聞きたくねぇ」


――って、ちょっと待った!
聞いてきたのは聡でしょ―っ!?