「ほい、到着」


そんな言葉とともに、黒あくまはあたしをひょいっと、担いでいた肩から下ろした。


でも――…


あれ?
ここって、どこ?


うちの高校はただの公立だから、学校自体もそんなに広いわけじゃないのに。


あれ?
おかしいな?


この場所に、見覚えがない。


ここがどこなのか、わからない。


今、目の前に見えるのは――…


青々と茂った緑の木々と、ただの変哲もないグレーのコンクリートの階段、だけ。