笑うってこと……すごく久々な気がする。
最近、あんまり笑ってなかったからなぁ。
「彼氏といいことあった?」
……一気にテンション下がった。
「私、彼氏いないから」
「別れたの?」
「別れたっていうよりも、彼氏がいたことないし」
「ふ〜ん」
この返事は絶対わかってないな。
何年も傍で見てきたんだから。
返事ひとつでお兄ちゃんの考えてることはわかるよ。
それにしても、何回言っても信じてもらえない。
私、そんなに信用ないのかな?
「……ごっそうさん♪」
「あっ、はい。おそまつさまでした」
……って私作ってないけど。
空になったお皿をキッチンへと運び自分の部屋へ行こうとするお兄ちゃん。
その後ろ姿を見送ってからキッチンへと行き、お皿を洗う。
冷たい水。
指先から冷えていく。
だけど、それでも頬は暖かかった。
兄と話した緊張と、時々見た優しげな笑顔に、自分でも恐ろしいくらい胸が高鳴ってる。
今日はお兄ちゃんに褒められたんだ。


