コップ1杯の牛乳を飲み干すと、お兄ちゃんは席に着き、さっさとカレーを食べ始めた。



私はお兄ちゃんの前の席に座り、その姿を眺める。




急ぐようにカレーを頬張り、お茶で流すように食べていくお兄ちゃん。


ハムスターみたいに頬にたくさんため込んで

子供みたいで可愛い。






サラダにドレッシングかけてお箸でトマトを掴むその指先。



子供の頃から、いつもいつだって、お箸の持ち方が少し変で、その持ち方を真似してご飯を食べたら、お母さんに怒られたことがあったっけ。


あの時は、お兄ちゃんと同じでいたかったんだよね。


好きな音楽

好きなゲーム

好きな映画

お箸の持ち方から

服のジャンル

言葉遣い

読む漫画だって。



全部真似してた。




つくづく思うよ。

私ってお兄ちゃんっ子だな(笑)



「なに笑ってんの?」

「ん?」


指摘されて手のひらで顔を撫でる。



無自覚だった。



……私、笑ってたんだ。


お兄ちゃんのこと考えてたら笑ってたんだ。