「♪~」
部屋の中のどこからかメールの音がした。
どこにやったんだろ?
すでに止んだ着信音の発信源を記憶を頼りに導き出す。
えーっと、学校行って、彼女と遊んで帰ってきて、飯食ってゴロンっと横なって……制服のポケットだ。
考えてみれば帰ってきてからケータイ見てない。
壁に吊るされた制服のズボンのポケットに手を突っ込むと硬いものがやはりそこにあった。
ビンゴ!
取り出して二つ折りのケータイを開けると、彼女の名前と兄のように慕っていた人の名前が残っていた。
「拓斗さんだ」
最初は麻緋の傍にいて、麻緋を俺から取られたようで、この人が嫌いだった。
むしろ、バンドをやるって聞いて、みんな嫌いだと思った。


