「お前らが急かすからこんなことになったのにさ、悪いと思わないの?」
と拓斗のチクチクささる攻撃がスタッフに突き刺さっていることが分かる。
「別に照明とかもいらないし、待ってる間だけやらせてよ。練習みたいなもんじゃん?」
「……あー!!もう!わかったよ。
その代わり、時間になったらちゃんと終わって、段取りどおりやってくれよ?」
とだけ言って耳につけたインカムになにか指示を送ってステージから降りた。
「っしゃー!!派手に行こうぜ!!『STAR』やろうぜ」
と拓斗が叫ぶと静がスティックでカウントを取り出す。
「1、2、1!2!3!4!!」
この曲は……いっつもライブで歌う曲だ。
ちらほらと観客が戻ってくる中、私たちは演奏を始めた。
少ない観客。
だけど、それでもいい。


