汚レ唄




蒼も恥ずかしかったみたいで俯きながら移動してきた。


スポットライトの調整とかもあって、私の目には眩しいほどの光が入り込んできて、後ろにいたんじゃ蒼のことが見えなかったかもしれない。


だけど、1番前に来てくれたら蒼の顔も光と光の間だとよく見える。


舞台の上から蒼にこっそりとブイサインをすると蒼も気付いたようでニッコリと笑ってくれた。




「まだ時間あるなぁ」

と呟くスタッフのうちの1人。




でも準備完了してしまったし、このまま突っ立って時間が来るのを待ってるのも嫌だなぁ。

と思っていると、拓斗が口を開いた。




「んじゃ、待ってる間、なんか曲やってもいい?」

「でも3曲までって決まりだし」


「……俺たちにこのまま待ってろっていうの?ギターぶら下げて突っ立ってろって?」

と横目でスタッフを見る。