すると拓斗は拗ねて反対をむいてしまったけど、今はそれどころじゃない。
「私、緊張して今、ご飯食べたら吐くとおもうんだけど……」
心臓がバクバクしてる。
下手したらこのまま口から飛び出してしまうかもしれない。
「……それは俺も同じだ」
声を発したのは静だった。
「静も?」
「ドラム叩きながら、リズムに乗って吐きそうだ」
「っぷ」
想像したらちょっとだけ面白かった。
「お前なぁ笑い事じゃないんだって。最後の最後で吐いた奴ってイメージ植え付けたくないんだけど」
「お前ら、やわな心臓してんだな」
と、呑気に拓斗が笑った。


