「蒼です。いつも姉がお世話になってます」
と余所行きの挨拶を交わすと拓斗……さんがまた笑い出した。
「お前すっげー礼儀正しいんだな。それに姉ちゃん思いだし。お前、いい奴なんだなぁ」
……やばい。
俺、この人苦手かも!!
何?このマイペースな人。
礼儀正しいって、ただの挨拶じゃん。
言ってしまえば定型文のようなもんじゃん。
正しいも何もねーし。
「拓斗、そろそろ10分前だし、行こう」
怖い静さんが時計を見て指差した。
この人と恋愛はないな。
麻緋も怖いって言ってたし、恋愛要素もないし、この人は要注意人物から外してもいい。
「ほらほら麻緋~、いこっ!」
と手を取って走り出したのは、えーっと、則彦?さん。
あいつは要注意だ。
可愛い顔してるし、なんか狙ってるっぽいし。こういう計算得意そうだし。
あいつと、この隣にいる拓斗……さんはとりあえず、要注意人物確定。


