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玄関の扉ってこんなに重たかったっけ?
見慣れない女物の靴。
ドクン
胸が高鳴る。
大丈夫大丈夫。
私は大丈夫。
自分に言い聞かせる。
彼女、一体どんな人だろう。
お兄ちゃんが選ぶ人だもん。
きっと素敵な人だろう。
私とは比べ物にならないくらい素敵な人だろう。
嫌な人ならいいのに。
そしたら、堂々と嫌いだといえる。
私は反対だといえるのに。
リビングに入る前に深呼吸を繰り返す。
大丈夫だから。
そんな時、階段からお兄ちゃんが降りてきた。
心なしか楽しそうなお兄ちゃんにズキンと心が痛む。
「おっ♪お帰り」
「……た、ただいま」
「そんなとこで突っ立ってどうした?」
顔色を伺うように覗き込むお兄ちゃん。
顔が近い。
「いや……お客さんが」
リビングにいると思ってたんだけど。
「あ~……俺の部屋にいるから」
お兄ちゃんの一言一言が胸に刺さる。
あの部屋にいるんだ。
家族の特権だと思ってたのに。


