「ただいま~」
少し掠れた声が聞こえてきた。
俺は急いで階段を下りて玄関に向かう。
「おかえり」
「蒼、ただいま」
……疲れた目してる。
「声……どうしたの?」
「ん?今日、朝からずっと歌ってたから疲れたのかもね」
すごく楽しそうに言うんだよな。
疲れてるから心配しても、麻緋は、なんつーか充実してるっていうのがわかるから、俺もどうすればいいのかわからない。
いっそのことすっげー疲れてるとか嫌気がさする。とかいってくれれば、もうやめちゃえば?って言えるんだけどなぁ。
「バンドの練習も、最近すっごく息合ってきていい感じだから2時間ぶっ通しで歌ってたからなぁ」
リビングのソファに腰かけて、楽しそうに。
麻緋が楽しければ俺も楽しい。
が、前提だったのに、俺は楽しくない。
心配で心配でしょうがない。
「明日、明後日と休みだし、ゆっくり休めよ?」
と言うのが俺の精一杯なのに。


