汚レ唄




「だって静さんは則彦くんと一緒だと入ってくれるんでしょ?
それに、私も則彦くん、いいと思うよ?
テクニックのこととかはよくわからないけど、すごくいい顔してたし。
好きなんだなってわかっちゃうくらい。そういう気持ちがあれば多分聴く側にも伝わると思うし」

「そうかもしれないけどさぁ~」

「俺が欲しければコイツもついてくるってだけだ」

「それが嫌なんだってば」



でも状況は3対1。

しかもずっと組みたかった静さんの言う事だし。

結局、最後には拓斗君も賛成して2人の加入が決まったのだった。




「にしてもさ、麻緋?」

「うん?どーしたの?まだ不服があるわけ?」

「いや、気になったんだけど、なんで俺とコイツは"くん"づけで静だけ"さん"なわけ?」



「え?いや~。雰囲気?なんか、静さんって静君って感じじゃないし、無口で怖いからなんとなく……」



「ふ~ん」

と少し考えた拓斗くんは大きな声で「そうだ!」と叫ぶとにっこりと笑った。