「則彦、だっけ?いつからやってんの?」
「高3ですね。受験の逃避で始めたらハマりました」
「ふ~ん」
汗を拭う静さん。
そんな静さんに拓斗くんが飛びついた。
「で!静はどうなんだよ?!お前、バンドに入る気になった?」
ゴクリと生唾を飲む。
ただ1人、則彦君はいまいち状況がわからずハテナ顔だ。
「あー、コイツと一緒なら入ってもいい」
コイツと指さされたのは、ハテナ顔の則彦くんだ。
「はぁ?!なんで?」
「高3から始めたにしては弾けてるほうだと思う。センスあるよ」
「でも、こんなよくわからない奴と一緒なんて嫌だっての」
「じゃあ他あたってくれ」
「おい!静~!!!」
ハテナ顔のままコチラを見てくる則彦くん。
今の話の流れだと、つまりは「一緒に頑張ろうね」ってことだよね?
「はぁ?麻緋まで!!」
しかし、私の言葉は拓斗くんにも聞こえており、今度はコチラに顔を乗り出してくる。


