ドラムの安定したリズムが刻まれる。
それだけでも分かる。
こんなに安定したリズム。
拓斗君があんなにバンド組みたがるわけだ。
そこにベースの音が入り込む。
ベンベンと弦の弾く音。
ドラムがアップテンポに、ローテンポにと変わっていく。
それについていくベース。
「……普通だな」
隣にいる拓斗くんが口を開いた。
そう。則彦君のベースは目を見張るほど凄いとかいうわけでもなかった。
あんなに言うから相当なものだと思ったんだけど。
でも、なんだろう。
もう少し……もう少し聴いていたい気になる。
最後にシンバルのシャーンという音で終了した。
「お前さ、なにが、『驚くと思いますよ』っだ!普通じゃねーか」
「いや、だからあんだけでかい口叩いてこの程度かよっていう驚きですよ」
「あほか!!」
拓斗君と則彦くんが言い合ってる中で静さんは汗を浮かべながら一言言った。


