「っ悪ぃ!遅くなった!!!!」
拓斗くんの声が廊下に響く。
「あっ、拓斗くん。ジュースヨロシクね」
「ゴチ」
「……やっぱり覚えていたか」
管理室の小さな窓が開き、次々に申し込みを済ませていく。
「じゃあこの紙に名前と使用時間を書いて、学生証も出してね」
と紙を渡され3人でかく。
「んじゃ302の部屋使ってちょうだい」
と20代後半くらいのお姉さんに言われ、鍵を受け取って3階へと階段を使った。
「っはぁ~。本当なら俺が最初に来る予定だったのに。先生に呼び止められて、なんかわかんないけど子供の話聞かされてたんだよ」
「なんだそれ」
「マジで、俺も、なんで今日そんな話すんだよって思ったけど、子供の写メ見せられてさ、そしたら可愛くって、断れなくて話聞いてるともう時間だしで、走ってきたんだけど、それにしても……よく順番とれたな」
「あ~……それはこの人が頑張ってたから」
「麻緋が?」
「なんだ。俺はてっきり静が瞬間移動したのかと思ってた」
「できねぇよ。でも、まぁ女にしちゃ根性あるほうかもしれない」
「お?静、ちょっとは分かってきたか」


