「はぁ~……」 拓斗くんは盛大なため息をついてしゃがみこんだ。 「麻緋、ごめんなぁ。 あんなひどいこと言う奴じゃなかったんだけど、どうしちまったんだか」 「ううん。大丈夫」 「お前の歌があればきっと大丈夫だ。静も絶対バンド入ってくれるから!!」 両肩に手を置いてニッコリと拓斗くんは笑う。 「あとはヨ・ロ・シ・ク」 「はい?」 「放課後、がんばろうなぁ~」 それだけ言って拓斗くんまでもが走って階段を駆け上っていったのだ。 「え~……」 この声は誰に聞こえているのだろうか。