「隊長!!見られてます!!見られてますよ!!」
「ばかやろう!!そんなこと気にするんじゃない!!俺たちは俺たちの任務を遂行するまでだ!!」
「あいっ!すいませんでした!!」
そこで後ろを振り返ると、冷めた瞳で見下ろす1人の男の人が立っていた。
「た、たたた隊長。もしかして……」
「なんだ!何を見つけた!!」
と拓斗くんが振り返り、ひきつった笑顔で「あ……よぉ」ちいさく手をあげた。
「……なにやってんの」
低っ。
今まで聞いたことがないくらい低い声。
「あ~。こいつ、麻緋!!ボーカル担当!!」
「へ~……。女?」
「……うん。女だけどすげーから誘った」
「……ふ~ん」
とそこでようやく私に視線がくる。
相変わらず冷ややかだけど。
「市村麻緋です」
と自分でも名前をいうと、興味がないとでもいうようにその人は視線を拓斗くんに戻した。
「で、俺のバンドも少しずつ形になってきたわけですよ」
とニコニコしてる拓斗くん。
冷や冷やな目を投げてくるドラムの方。
「よかったな……」
そう言ってから、ドラムの人は自分の教室に向かおうとしたところ拓斗くんが服を引っ張って止めた。


