汚レ唄



次の日の朝早く、私と拓斗くんは学校に来ていた。

校舎入口はすごく広々としていて、登校してくる生徒が丸見えだ。

なので柱の影に隠れてドラムの人を探す。



「いいか?あいつはとにかく生意気なほどにでかい。それから威圧感が半端ない」

「い、威圧感っすか」

「とにかく誰も近づくなよオーラの出てるでかい奴がいたらそいつがターゲットだ」

「イエッサー」


拓斗くんに向かって敬礼をする。

こんなノリ、高校以来だな。

……ってことは最近だな。



今日の拓斗くんは帽子を深くかぶっている。

身を隠すようだった。





「隊長!!あの方ですか?!」

背の高い人物を指差してみる。


「ばかやろう!!あれは、でかいけど、違う!!ギターケース持ってんじゃねーかよ!」

「あいっ!すみません。自分間違ってました!!」

「その心意気は認めよう!!」

「あざーす!!」




なんだ、このやりとり。

チラチラと私たちに視線が集まり出す。