「あっ、そうだ。今日どうする?駅前で歌う?」
「あ~、うん。ご飯食べたら行く」
「オッケー。んじゃ俺も早く飯食うわ」
「でも、蒼、中間テストが……」
「なんか俺、一夜漬けして覚えて次の日にサラサラ~と忘れる勉強法が得意みたいだし、それでなんとかなると思う」
「……え~」
だったらなおさら真面目にやれば点数高いのに。
「俺が麻緋の歌聴きたいだけだから。なんか文句ある?」
「いいえ。なんでもないです」
「わかればいいんだよ」
ハッハッハなんて笑ってるけど、これも多分蒼の優しさ。
本当、優しすぎる。
「英語と歴史なら教えるよ?」
「いいの?」
「多分、教えられるはず」
「サンキュ~」
ってすっごく嬉しそうな顔をする蒼だけど、分かってるのかな?
その嬉しそうな顔を見ると、胸の奥からじんわりとあったかくて少しくすぐったくなるんだよ。
多分、私も嬉しいんだよ。
蒼が嬉しいと私も嬉しい。
そういうことなんだよ。
反則的な笑顔だ。
おかげでこっちはキュンキュン胸が打ちぬかれてるんだから。


