汚レ唄



「そう!
だから、あともう一押しだと思うんだ。
多分、他の奴があいつを指名しても誰も選ばないと思う。
時間をかけた分、俺が有利なはずだ」


「そうなんだ」

「それに、もう俺1人じゃないしな。
俺には仲間ができた。
だから絶対にあいつを俺たちのバンドに入れてやる」


「うん♪私も手伝うよ」

「へへへ。やっぱいいな。仲間がいるって」


屈託なく笑う拓斗くん。

そっか、今まで全部1人で抱えてたんだ。



そっか。

私、本当にこの人と組んで正解だった。


まだ見ぬ仲間のために、これからなる仲間のために一生懸命がんばれる人なんだ。


だから、いっつもあったかくて、周りのみんな笑顔でいられるんだ。



「これから、よろしくな」

「こちらこそ」



日が落ちて暗くなった駅の噴水前。

私たちは笑顔で握手を交わした。