汚レ唄



「俺、麻緋と同じ学校の拓斗です。
今、麻緋をバンドに勧誘してて」


「知ってます」

とそれだけ答えると蒼はまたプイっとそっぽ向いてしまった。


「あ~、拓斗君?
この子は彼氏じゃなくて……弟、です」

からかうオモチャがいなくなって不機嫌になったのか蒼は小さく舌打ちをした。


「え~?!」

俺より大人っぽいのに。
と拓斗くんは拓斗くんでなんかがっかりしてるし。


「僕もそう思います」
って蒼も生意気なこと言ってるし。


「で、バンドの件なんだけど」

「それは……」



蒼のほうをみる。

蒼は反対なんだよね。


でもなぁ、すごく気持ちよかったんだよねぇ。





「やれば?」

「え?」

「やりたいんだろ?」

「蒼……」


「よしゃ、決まりだな」



こうして私は拓斗くんとバンドを組むことになったのだった。

これが、私たちSAMURaiの最初の第一歩だった。