「麻緋!」
拓斗くんがニッコリと微笑んで、手招きをする。
ふと、蒼を見ると呆れたように「行ってきたら?」と言った。
「次、この曲なんだけど、知ってる?」
「あ~歌詞は知らない」
「適当に歌え」
「いいの?」
「これはアレンジなしだから思いっきり弾けよう」
「うん!!」
そうしてその後何曲か私も加わって歌を歌ったのだった。
歌も終わり、一息つくと人だかりはだんだんと減っていった。
「……ん」
蒼が水の入ったペットボトルを持って着てくれた。
「蒼!買って来てくれたの?ありがとー」
「いーえ」
そのままそっぽ向いてしまった。
「誰?彼氏??」
拓斗くんがニヤニヤと気味の悪い笑みを浮かべながら肘で小突いてくる。
「ちがっ!」
「そーでぇす」
「んなっ?!?!」
拓斗君のからかいに違うって返事をしようとしたのにすかさず蒼の言葉が上書きされてしまう。
なんでそんなこというわけ?
明らかに……血、繋がってんのに……。


