汚レ唄



……あれ?
私、断るつもりだったのに。行く約束してしまった。


「あら〜、蒼に怒られちゃう……」


と呟く声は、風にさらわれ、蒼の元に届きませんようにと心の中で願ったのだった。









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「すんません。
厚かましいお願いだとは思うんですが、あの、土曜日に大きくてこの県で1番都会なアノ駅に、私を連れて行ってくださいませんか」




「……なんでそんな説明文なの?」


「いやぁ〜、なんとなく」


我が弟ながら目力が半端ない。

睨まれるとすごく怖い。


「なんか蒼、怖いからつい」

「っていうか何かあんの?」

「うん?!ちょっと、ね。
あ〜……やっぱりいいや。あんたもうすぐ中間テストだもんね」




そう。

今、蒼の部屋にいるんだけど、いつもはベッドの上でゴロゴロ〜ってしてる蒼なのに、今日はまともに机に座って教科書を広げている。