汚レ唄



そうなんだよ。

私のこと認めてくれたんだよね。


蒼以外で初めて。



「ちなみにその人って男?女?」

「男。入学式の時に仲良くなったギター専攻の人」

「ふ〜ん」


あれ?なんか蒼、唇尖らせてる?

なんで?


明らかに不機嫌になってない?


「心配してくれてるの?」

「う〜ん……」

「でも、大丈夫だよ?
拓斗くんって言うんだけど、すっごくいい人で、さっきもカラオケ連れて行ってくれたんだ」


「はぁ?!2人で?!」

「う、うん」



どうしたんだろう。急に怒り出して。



「麻緋、それはいい人って言わない」

「え?」

「それはどーでもいい人だ。
麻緋の人生にとってどーでもいい人。だからバンドは断りなさい」

「えー!!なんで?!」

「なんでも!!」


そういうとプリプリして早歩きになる蒼。


その後を小走りで追いかけた。