「お前はソロが希望なのか?」
「というか、ずっと1人で歌ってきたからバンドって本当にどんなものか分からないっていうのが大きいんだよね。
ソロで歌うのとどう違うんだろう?」
う〜んっと首を捻ると拓斗君は何か思いついたように手を叩いた。
パチンと良い音が鳴る。
「歌って、声があるもんじゃん。まー、なかったら曲じゃん?だから、バンドは声がなかったら進めない」
「……うん」
「ソロでも声があれば歌になるけど、バンドはボーカルがいないと始まらないわけよ」
顔を上げて拓斗くんは頭をかく。
口をへの字に曲げて困り果てた顔だ。


