汚レ唄



エレベーターの中できいたんだけど、プレートの番号は部屋の番号らしい。


エレベーターで指定された階に着くと、たくさんの小さな部屋があって、所々、歌声が聞こえてくる。





うわぁ!

ドキドキしてきた。



「ここだ」

そこは少し小さな部屋だった。



タウンページのように分厚い本が2冊、テーブルの上に置かれてて、少し硬めのソファーが壁にL字型に置かれている。




「……本当に初めてなんだ」


キョロキョロと物色していたからだろうか、拓斗くんはクスクスと笑ってソファーにドカッと座った。




「この本に曲名がズラっと並んでるんだけど、歌いたい曲名の横の列に番号が並んでるの、わかる?」



そう言われてタウンページ並みに分厚い本を膝の上に置くと、ずっしりと重みを感じた。