汚レ唄




「じゃあ後でな」

と拓斗くんはコソコソっと耳打ちしてくると、ギター科の方へ戻っていった。



そして授業も無事に終わり……1階のロビーまで降りると、拓斗君はすでに待っていた。





「ごめんね、待たせちゃったね」

「んーや、俺も今終わったとこだし」


そういうと2人で並んで歩き出した。


拓斗くんとは身長が同じくらいでとても話がしやすい。


見上げることもなければ、見下ろすこともなく、女の子と話してるみたいだ。



「なぁーにニヤけてるんだよ」

「んー?拓斗くんって背が低いから話しやすいなぁって思って」


「……ひどっ。人が1番気にしてることをサラっと言いやがって」

「え?褒め言葉だよ?」


「どうしたら褒め言葉に捉えられるんだよ」


「うちの弟は中学はいる頃に成長期迎えちゃってさ、今じゃ見上げなくちゃいけないんだけど、拓斗くんはそんなことないから楽でいいねっていう褒め言葉」


「ギャー!聞きたくない!!お前、悪意がないだけにすっげー質悪いぞ」


「なんでよ?」