「母さん」


ビクッとした母さんは、多分ちょっとでも麻緋のことで悩んでくれてるからだ。

本当にこれでいいのかって迷いがでてきたからだと信じたい。



「……父さんも、歌、聴きに行こう」


リビングで、あんなに騒いでるのに客もいない店でただ呑気に新聞を読んでる父さん。





父さんは、麻緋のことどう考えているんだろう。




「麻緋の歌う姿を見れば、きっと何とかしてやりたくなると思うんだ」


「そんなの行く気ないから」


「……一度でいいから。
頼むから、これ以上軽蔑させないでくれよ」



一瞬ひるんだ母親。