「あんた、また行くの?」
「……うん。行く」
泣きそうになってる麻緋に言う事がそれかよ。
「恥ずかしいから辞めなさいっていったはずよ?」
「でも、これがないと私は……きっと……おかしくなるから」
まっすぐ母さんを見据えた目。
これは、大丈夫だ。
迷いがない目をしてる。
「どうしても音楽がいいの?」
「音楽以外は考えられない。
でも、お母さんが辞めろっていうのなら、私、自分で稼いで専門学校通うことにする。
いつになるかわからないけど、卒業したらバイトしてお金貯めて、それで学校に行くよ。そうすればお母さんの了承得なくてもいいんでしょ?」
「そう……勝手になさい」
「うん」
強い気持ち。
心配することはなかったかもしれない。
麻緋は麻緋でちゃんと前を向いてる。


