「……母さん」


欲目って!


そんな風に思うなよ。


親だったら娘を応援してやれよ。


俺、本当にこの親が嫌いになりそう……。





「蒼?もういいよ」






背後から麻緋の震えた声が聞こえてビクッと肩が震えた。



「麻緋」


黒い帽子、黒のギターケースを提げ、麻緋は俯いてる。


自分のせいでケンカしてるとか思っちゃったかな?


だとしたら余計な心配事増やしただけじゃん、俺。





「蒼……お母さんの説得は自分でするよ。
だから蒼は傍で、頑張れって言ってて。それだけで本当に頑張れるから」


「麻緋、ゴメン。
俺、母さんにも麻緋の凄さ、わかって欲しかったんだけど……」


「うん。ありがとね、蒼」