涙声の抗議虚しく、那智は私の制服の襟元を掴むと
「あんた何やってんのよ」
と小声で囁かれた。
こ、こわいんですけど。
「祐君、良い人じゃない?どこが不満??」
「……良い人すぎるところ??」
「……あんたがそんな趣味だったなんて知らなかったわ」
「ふふふ♪」
「それ、気持ち悪いから。
……でも、来たメールはちゃんと返しなさいよ。それは当たり前のことだと思う」
「……だよね」
那智に言われ、ない頭フル回転させメールの返事を返した。
内容は、『ありがとう』と『返事が遅くなってごめんなさい』的なものを綴ったメールを送った。
これが私の精一杯。
それから、携帯をしまった。
ここにいる時は、他の男性のことを考えたくないから。
今までずっとお兄ちゃんのことだけを考えてきた。
それなのに、今日は別の人のことを考えるとかしたくなかった。
違う人のことを考えるってことは、それだけの気持ちな気がしたから。
私の気持ちはもっともっと大きいものだと信じていたいから。


